スカイツリーは制震の温故知新技術が詰まっている
はじめに
前回まで耐震・制震・免震という、主な住宅の地震対策をご紹介しました。現代においてこれらの地震対策はビルやマンション、塔など大きくて複雑な構造をもった構造物の技術を戸建住宅向けにスピンアウトして出来た技術が数多くあります。例えば、制震(※制振とも呼びます)技術を地震対策として取り入れている構造物として有名なものでスカイツリーがあります。このスカイツリー、地震に対してとてもしっかり対策がなされており、建設途中にあの東日本大震災に襲われたにも関わらず、特に問題なく工事が進められたといいます。今回のブログはそんなスカイツリーについて紹介いたいと思います。
スカイツリーが出来た理由
まずはスカイツリーの概要から、工事着工は2008年7月で竣工は2012年2月ということで約3年半という期間を経て出来た電波塔です。なぜスカイツリーが必要だったかというと、従来は東京タワーが首都圏一体の放送電波塔の役割を担っていましたが、近年東京タワーの周りに超高層ビルが多く林立したことで電波が届きにくくなる場所が出る恐れがあることが近年問題視されていました。従って、早期に600メートルを超える電波塔を作る必要があったため、スカイツリーは生み出されることとなりました。スカイツリーの高さは634メートル、総事業費は650億円、世界一高い塔としてギネス記録にも認定されています。※2位は中国の広州塔の600メートル。
スカイツリーの地震対策及び制震技術
これほどまでに巨大な構造物であり、且つ都心の建物密集地帯にそびえるスカイツリーには様々な構造面での技術が組み込まれています。まず基礎部分ですが、ナックルウォールという技術が採用されており、非常に強固な基礎構造を形成しています。ナックルウォールとは、一般的な場合柱状の基礎柱を壁のような形状にし、更に凸凹とスパイクのような特徴を持たせることで、大木が地中深くにしっかりと根をはるかのような基礎になっています。このナックルウォールのおかげで風や地震の揺れで抜けにくくなります。そして特筆すべき地震対策として忘れてはいけないので、制震工法の採用です。最新技術が随所に駆使されているスカイツリーですが、この制震に関しては古くからの建築技術を応用したと言われています。それは、お寺でよくみかける五重塔です。実はこの五重塔、何百年と歴史を重ねるなかで多くの巨大地震に襲われてきましたがほとんど損傷無く現代まで残り続けているという非常に驚くべき地震対策を備えている建築物なのです。スカイツリーはその本体の真ん中に新柱と呼ばれる巨大な鉄筋コンクリート造の構造を設けており、大地震が襲ってきてタワーが大きく揺れようとした場合に、この芯柱が約半分程度に揺れを抑える効果が期待できます。日本古来の柔構造の地震対策を現代の最新技術によってリメイクして出来た優れた地震対策といえます。
まとめ
いかがでしょうか?地震の揺れを吸収して軽減させる制震技術は、スカイツリーのような優れた構造物にも採用されているのですね。最近では戸建住宅で制震工法を採用するコストも技術進歩によってかなり低くなっています。耐震だけでは地震のとてつもない破壊力に抵抗しきれない可能性もあります。是非制震のご検討をしてみてはいかがでしょうか。